私たちは嫌な出来事やつらい経験を「記憶」として覚えています。
でも、実は記憶するのは脳だけではありません。
身体もまた、トラウマ(心的外傷)を記憶し、無意識のうちに影響を受けているのです。
たとえば、 過去に事故にあった人が、似たような場所を通ると心拍数が上がったり、体がこわばったりすることがあります。
また、大きなストレスを受けた人が、原因が思い出せなくても頭痛や胃の痛みに悩まされることもあります。
これは「身体的記憶」と呼ばれる現象で、心と体が密接につながっている証拠です。
なぜ身体はトラウマを記憶するのか?
身体がトラウマを記憶する理由は、脳の働きと関係があります。
特に重要なのが 扁桃体(へんとうたい) と 海馬(かいば) という部分です。
・扁桃体:危険を察知し、恐怖や不安の感情をコントロールする。
・海馬:記憶を整理し、時間や場所と関連づける。 しかし、 強いストレスや恐怖を感じたとき、扁桃体が過剰に働き、海馬の機能がうまく働かなくなります。
その結果、 「怖い!」という感覚だけが強く残り、時間や場所と結びついた記憶として整理されません。
そのため、無意識のうちに身体が同じ反応を繰り返してしまうのです。
身体的記憶の具体例
では、 具体的にどのような形で身体がトラウマを記憶するのでしょうか?
① 過去の出来事を思い出さなくても、体が反応する
ある人が子どもの頃に親から厳しく怒鳴られた経験があるとします。
大人になっても、大きな声を聞くと無意識に肩がすくんだり、心臓がドキドキしたりすることがあります。
これは、体が「危険だ!」と自動的に反応しているのです。
② 原因不明の体調不良
ストレスやトラウマを抱えている人は、肩こりや頭痛、腹痛、不眠などの症状が出ることがあります。
特に、過去のつらい経験を忘れたつもりでも、体が緊張し続けていることが原因で、慢性的な痛みとして表れることもあります。
③ フラッシュバック(追体験)
強いトラウマを持つ人は、特定の音や匂い、場所などによって、過去の記憶が急によみがえることがあります。
そのとき、心だけでなく体も当時の感覚を再現することがあり、息苦しくなったり、震えたりすることもあります。
トラウマによる身体の記憶を癒すには?
トラウマの影響を和らげるためには、心だけでなく体にもアプローチすることが大切です。
① 深呼吸やリラックス法を取り入れる
ゆっくりと深呼吸をすることで、自律神経が整い、体の緊張を和らげることができます。
ヨガや瞑想も、心と体のつながりを感じるのに役立ちます。
② 身体を動かす
ウォーキングやストレッチ、ダンスなどの運動をすると、体にたまったストレスが解放されやすくなります。
特に、リズムのある運動(ランニングやダンスなど)は、トラウマの影響を軽減するのに効果的とされています。
③ 信頼できる人に話す
トラウマは一人で抱え込まず、信頼できる人に話すことで心が軽くなることがあります。
専門家(心理カウンセラーやセラピスト)に相談するのも良い方法です。
最後に・・・
私たちの身体は、思っている以上に心と深くつながっています。
過去のつらい経験が体に影響を与えていることに気づくことで、「なぜかわからないけど体調が悪い」といった悩みの原因を理解しやすくなります。
もし、 何か不調を感じたときは、「もしかしたら過去の経験が関係しているのかも?」と考えてみるのも大切です。
そして、心と体の両方をいたわる方法を取り入れて、少しずつ癒していきましょう。
日本こころのケア協会
住所:東京都町田市森野1-36-2 セレステ町田1F
電話番号:042-709-6531
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